水草の成長促進剤は肥料として売っていないので、成分表示が無く、高い。 園芸用の肥料は、成分が書いてある。 園芸用の肥料が使えると安くてよいが、もちろんリスクもある。 ソイルを使用している場合には、底床からのミネラル分や肥料が期待できるが、7年ものの田砂では肥料を投与しないと水草は育たない。 濾過が十分できて設備が整った環境で水草を育てるには、肥料をどうするかが最重要課題になる。つまり、水草には十分に栄養が与えられ、藻類は繁殖しないようなバランスを維持しなければならない。大量の水草を繁茂させるには必要十分な肥料が必要であり、水草が繁茂できない貧栄養状態では藻類が繁殖する。水草の要求量に対して肥料分が少なくても水草が維持できず、藻類の優勢化を招く。 水草の育成技術とは、結局は肥料と餌をコントロールするテクニックだと思う。 一般に水草の肥料の成分として考えるのは、以下である。赤系の草を入れたら鉄を気にしないといけないらしい。 1.窒素 2.リン 3.カリウム 4.鉄 5.その他ミネラル 窒素とリンは餌により供給されるので、水槽水中には比較的たくさん存在するが、底床にまで行き渡るかは不明である。 カリウムや鉄やその他ミネラルは別途添加する必要がある。 水草によっても、根から養分吸収が主体のものと、水中から多く吸収するものとがある。根からの養分吸収が優勢なのは、エキノドルス類やクリプトコリネなどであり、水中から吸収するのは着生するシダ類やアヌビアスなどである。有茎草は種類によると思うが、葉からの吸収が多いように思われる。 根から養分吸収する水草には、底床中に必要な成分が十分に存在する必要があり、水中から養分吸収する水草には水中の養分が重要であるが、根を張る有茎草ではやはり底床中の養分が必要である。 水中の養分については液肥を投入すればよいのだが、餌による窒素・リンの供給が過剰気味となるため、主としてカリウムを添加すればよく、炭酸カリウムの 10%水溶液で事は足りる。鉄はメネデールで、微量元素は底床肥料でまかなうものと考える。炭酸カリウム溶液を過剰に添加するとKHが上昇する。 いずれにせよ魚が多くて餌が多い水草水槽では、葉からの吸収が多い水草に水中の窒素・リンを吸収させて藻類の繁殖を抑えることを考えないといけない。 園芸用の肥料は、以下の前提がある。 1.根から吸収される 2.長期的には散水により流出する 3.肥料分の供給は、土と肥料 水槽に使う場合は、この前提が崩れる。以下の違いがある 1.水中に溶出した肥料分を葉から吸収する水草もある 2.溶出した成分が換水によって外部に出されるだけで、それ以外は残留する 3.飼育水中の肥料分のうち、窒素とリンは餌から供給される 4.底砂に肥料分を期待できない(大磯とか田砂とかの場合) 園芸用の肥料を底床に使用する場合には、以下を考える必要がある。 1.肥料の溶出により飼育水の環境が悪化しないこと。総硬度やpHが指標。 2.肥料の溶出による飼育水の富栄養化がひどくないこと 3.十分に底床中に残留すること 4.使用量は、相当少なめ。 通水がそれほど良くないとはいえ、底床には飼育水中の窒素・リン分が入り込むので窒素・リンは少ないほうがよい。また、カルシウムやマグネシウムが多く含まれているものは硬度を上げるのであまりよくないように思う。 微紛ハイポネックスは、水溶性なので底床肥料に使うには向かないように思われる。 園芸用の肥料を調べてみると、「リンカリ肥料」が窒素分を含まず、溶けにくいカリウム分を含んでいるので、マグネシウムが多いのが気になる点ではあるが使えそうである。これに、窒素とカリウムが多い肥料を少量混ぜることで、ほぼ望ましい成分比が得られるように思われる。 鉄の供給については、「鉄力あぐり」が使えたが、今は鉄だけの製品はなくなり他の肥料分が添加されるようになったらしい。園芸肥料は1袋が大量なので十分ある。 園芸用の肥料を追肥に使う場合は、粉砕して薬用のカプセルに入れると使いやすい。2号か1号程度が適当だと思う。
FirstUpload 09/11/15-23:51 : LastUpdate 09/11/15-23:52
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